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2012.07.19 やきとんな夜
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新宿3丁目の角打ちホルモン店

豪雨続きの九州とはうって変り、1か月ぶりの東京は真夏日であった。そんな連休中の夜の新宿を散策してみれば、やたらと九州に関係した名称の看板が目に付くではないか。例えば〝博多〟とくれば、上の句と下の句のようにラーメンやモツ鍋が当然のようにくっついている。確かに九州地場の食材や郷土料理は旨い。また酒の、いや焼酎の肴にはもってこいだ。
 昨年はしばらく仙台にいたが、期待通りの出会いは少なかった。震災直後の影響もあったであろうが、冬の寒さにも馴染めず辛い思いでばかりである。兎にも角にも、新宿では東北よりも九州に縁のある居酒屋が目立つのである。そのなかに博多名物“やきとん”という見慣れぬメニューが、あちこちで自慢げに幅をきかせていたのには驚かされた。
 えっ・・・“やきとん”? 「そんな食べ物あったっけ」などと首をかしげるばかりで、天神でも博多でもそんなのを注文したことなど一回も心当たりがないのだ。ならば正体を見定めたくなるのは当然の理で、角打ちで注文してみれば、なんと串に豚肉を刺してやいたものである。つまり“豚の焼き鳥”ではないか。いやいや、豚の焼き鳥という表現はおかしいが、九州の焼き鳥屋では普通に置いてあるつまみだ。だからあえて“やきとん”などとは言わない。だが、東京では鳥だけを扱うのが普通で、豚は新たなカテゴリーを必要とした結果のややこしさであることに気づかされた。それでも何処か狐につままれたような気持ちで、一言だけ謹厳を申し上げておきたい。
 「食べ放題のキャベツがついてない」
 無造作にひきちぎったシャキシャキのキャベツを、酢醤油につけてバリバリ頂くあれである。これがあるとないでは大違いなのだ。それが付いてこないとなれば、“仏を造って魂を入れない”のと同じようなものである。

 ちなみに“角打ち”なるものも北九州が発祥で、枡の角で呑むことに由来する。余談ながらまだ若かりし頃の話で、どうにも懐が寂しくなりだすと近所の酒屋に出かけたものだ。そこで焼酎の小瓶を購入し、すかさず店の裏側に回る。そこは倉庫を兼ねた立ち呑み屋で、一升瓶が所狭しと並んだ土間に、小さく粗末なカウンターが置かれた薄暗い空間がある。肴も店に売っている干物で、例えばレジでスルメの代金を支払い、それを袋ごと店の女将に渡せば、さっとあぶったものを皿に載せて持ってきてくれるのである。
 これなら保健所には飲食店としての届け出は必要もなく、商品を客が店内で呑み食いしているだけなので、リーズナブルに楽しめる嬉しいシステムなのだ。そういえば角打ちも最近はよく見かけるようになった。それも昔の労働者階級的な暗いイメージではなく、お洒落で気軽な雰囲気に若い女性の姿も多く賑っている様子だ。確実に九州の食文化が、日本の居酒屋を支配しつつある。
 むふふふふ・・・・

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 “やきとん”なるものは本場博多には存在しないのだ

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恥ずかしげに、だが大声で豚の「サオ(ペニス)ひとつ」と注文していた美女に驚いた
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