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2013.03.11 時代
 蜀咏悄2_convert_20130311102257



 今月末に博多にあるの事務所が引っ越すことになる。引っ越すといっても同じビルの1階から5階なのだが、今までの半分の床面積しかない。そうなると個人の蔵書は置き場などなく、とりあえず実家の鹿児島に移動させることにした。
 そういうことで週末ともなるとなると、福岡、長崎、鹿児島の間を行ったり来たりの連続だった。それも一昨日でようやく一区切りがつき、ダンボール箱を愛車にぎゅうぎゅうに押し込み、あとは黄砂で霞む九州道を南へとハンドルをきる。
 しかし本とは思った以上に重いもので、4駆にもかかわらず車高は深く沈みどうにも安定感が良くない。

 鹿児島に着けば、遠く桜島は霞み火山灰なのか黄砂か見分けがつかないほどであった。
 家では出迎えてた両親にも手伝ってもらい、重い荷物を部屋へと運び込む。そこには先に持ち込んだ本の山が既にあり、片付けながらなんとか収まるように積み上げていく。
 その量の多さに今さらながら呆れてしまい、横では両親が床が抜けるのではないかと実に心配そうであった。

 片づけもひと段落つけばダレヤメとなり、母親の手料理に焼酎を酌み交わす手がすすむ。
 するとこの10ヶ月間の九州での生活が、瞬く間に過ぎ去った寂しさが沁みてくる。
 それは確実に年老いてゆく両親の顔を前にすればなおさらで、長崎での発掘が終われば東京へと戻らねばならぬ後ろめたさに心の中でつい頭を下げてしまう。

 ほどよく酔いも回ったところで、母が奥の部屋から何やら持ち出してきた。
 それは木箱のケースであった。蓋を開けると、中にはカセットテープが並んでいる。あの本を置いた部屋を掃除していたら隅の方から出てきたそうだ。
 30年ほど前によく聴いていた、レコードから録音したミュージックテープである。
 薄く消えかかったインクの文字をひとつひとつ目で追えば、様々なアルバムタイトルや歌手の名がそこにある。
 ひとつおもむろに取り出し、再生ボタンを押してみれば、くぐもったメロデーとともに女性の歌声がようやく聞き取れる。
 「そんな時代もあったねと・・・」
 “中島みゆき”だ。
 歌詞は当時の若い私にはとても実感できるはずのない内容だが、こうして月日を重ね初めてしみじみと感じられるものがある。
 「いい歌だね」、ぽつりと母が云う。
 「うん、懐かしいな」とそれに応える。
  後はノイズなど気にもとめず、ただ黙って耳を澄ます。

       ♪ 旅を続ける人々は
        いつか故郷に出会う日を
        たとえ今夜は倒れても
        きっと信じてドアを出る
        たとえ今日は果てしもなく
        冷たい雨が降っていても


 さて本も全て引き払った事だし、これからの先について少しばかり考えてみよじゃないか。
 そう思うこの頃である。
 
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