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 子供の頃によく与えられたせいか、大人になった現在では全く見向きもしなくなったお菓子がある。
 その頃のものはと言えば、味はただ甘いだけの単調なものが多かったような気がする。
 それでも、そうしたものしかないのでというか、知らないので飽きずに頬ばるより仕方ないのである。

 例えばよくもらうお土産の代表格には“ひよこ”がある。
 そのつぶらな瞳で頭を少し傾げ、手のひらにちょこんとのっかる愛らしい姿は、食べるのを躊躇わされたものだが、今でも博多のキヨスクや福岡空港でよく見かけ健在そのものである。
 だが、てっきり福岡を代表する菓子だと思っていたものが、学生になり上京した時にうり二つの形をし、同じ商標で東京土産として売られていたことに驚かされたことがある。
 この疑問は随分と後になって解決したが、“ひよこ”なるものは他にも類似したものが存在するらしい。
 この話はいずれするとして、食べ飽きて記憶の彼方に置き忘れてしまった、懐かしい菓子に話を戻すことにしよう。


 写真の「ボンタンアメ」と「兵六飴」は、鹿児島市内にあるセイカ食品で造られる菓子だ。
 キャラメル風の箱型のパッケージにキューブ形をした粒が、澱粉でできた透明なオブラートに包まれ収まる。
 子供の頃はこのオブラートが苦手で、わざわざむいたものである。
 それに水飴を練り込んであるため、粘り気が強く歯にくっつきやすいために噛むのが面倒なのである。

 ボンタアメはみかんの果汁が含まれオレンジ色に、兵六飴は海藻と抹茶で緑の色をしている。
 いずれも子供の舌には馴染まぬ微妙な味で、せっかく貰ってもあまり嬉しかった思い出はない。
 むしろ、またこれかと落胆したものであった。
 以来そうしたこともあり、これまで随分と口にしたことがないまま過ごしてきた。

 ところが一粒を手にとる機会が最近あったのだ。
 発掘をしてると思いがけない遺構や遺物を発見し、胸をときめかすことがよくある。
 それと同じくらいに楽しみなのが、午前と午後の休憩のひとときである。
 参加している作業員さんが、おもいおもいおやつを家から持参して、ちょっとした野外でのティータイムとなる。
 ちょうど今なら頭上に雲雀のさえずり、それを聴きながらなかなかのものである。

 そうした和やかなひとときに登場するのが、あの懐かしきお菓子たちなのであるが、参加されているのが同年代以上の方が多いせいか、どうしてもこうした傾向になりがちなのはいたしかたない。
 ましてや頂く身であれば、そう贅沢も言えまい。
 そこに件のアメと餅も登場したのだが、懐かしさも手伝い一粒を口に放り込んでみる。
 すると遥か遠い日々の思い出が、ビミョウな味覚と共に呼び起こされる。

 遠足の時に無理やりに親に持たされて、ならばチロルチョコレートの方がよかったのにと、口をとがらせありがた迷惑だったこと。
 出張ついでの土産に、父親がポケットからおもむろに一箱とりだし、これまたがっかりしたこと。
 親戚の伯父さんがお小遣い代わりにニコニコしながら手渡し、それに無理な笑顔をつくりありがとうを言なわければならなかったこと。
 うーん。
 どうも哀しき記憶ばかりではないか・・・。

 しかしながらあらゆるものが満ち溢れ、どれにしようか選ぶのに困るほどの現代社会において、深く脳裏に焼きつけられる味なんてあるのかな。
 そう思うと少し得をした気にもなってくるから、不思議なものである。
 
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