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2013.08.02
君と見あげし 夏の花

過ぎし夜に
君と見あげし
夏の花
湯あがり匂い
指をからめん
東京に向け、20時発の最終便が離陸するのを待ってはじまる花火。
海上に長く延びた滑走路の先が、打ち上げの場所だから。
その飛行機が、いま赤い灯を点滅させて闇の向こうに遠ざかる。
一時間にも満たない夏の夜の楽しみ。
数は少なく、小振りなものばかり。
それでも大勢の人々で賑うものより、何故か心躍る田舎での花火大会。
急かすように小さな体で、母親の手をぐいぐい引っぱる男の子。
仲よく腕をくみ前を塞ぐ若い恋人同士。
みんなみんな同じ方向を目指し歩いてゆく。
急ぎシャワーで仕事の汗を流せば、スーパーで缶ビールを一本くださいな。
後は自転車キーコキーコ、海岸通りへ走らせ。
すると海風の向こうに、ドーンと鮮やかな花が弾け散る。
さてさて目的の防波堤の上、たくさんの人が夜空に目を凝らす。
缶ビールをプシューと開ければ、ピューン、バラバラバラとしだれ柳。
潮騒の波間にも銀麟がキラキラ揺れている。
こうして独りぼっちで眺める花火も何回目。
少しだけ遠い思い出はシャンプーの匂い。
ポンポンポ~ンとまた夏の夜空に花が咲く。
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