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2013.11.24 碗をとる
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        かじかむ掌
       ポケットいでて
      碗をとる
 


 迷路のように複雑にいりくんだ路地裏をひとり歩く。
 そこには表通りの陶器市の賑いなどまるで嘘のように、静寂の時間が漂っている。
 誰も行き交う人に会うこともなく、工房や町屋はひっそりとしている。
 日頃は器を作る職人達も客相手に駆り出されているせいか、咳ひとつもれてこぬほどに。

 棚に様々な器が整然と並んでいる様子が好きだ。
 そこで気にいったものを手にとり、上に下へとひっくり返して眺めてみる。
 ところで随分と前に陶芸教室に通っていたことがあった。
 これでも少しは焼き物について知識はあるつもりだったが、いざロクロの前に座ると、頭と手がバラバラの不様さに苦笑いするばかり。
 それでもいつかは納得できる作品が作れるようになるだろうと思いきや、ついぞ先天性の不器用さはそう簡単に直らぬことに納得した。
 そう言えばある時、指導してくれた若い女性の先生が可笑しそうに、「あなたは本当にお酒が好きなのね」と語りかけてきたことがあった。
 言われてみればと、はたと気づいたのは、いつもぐい呑みやら徳利と酒に絡む器ばかり沢山作っていたことだった。
 

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 路地から表通りに戻り、またひとつひとつ店を訪ねて歩く。
 やはりまっ先に足が向くのが酒器の置いてある一角だ。
 外はいよいよ深まる秋に寒さが増し、かじかんだ手はポケットに突っ込んだまま。
 そこにひとつの器がふと目にとまる。
 すると引っ込めていた手が自然と伸び、両手で包み込むようにしてみいる。
 掌にしっくりくればしめたもの、そのまま口元の近くまで呑むふりなどしたりして。
 「これならさぞ美味いだろうな」なんて、心が少し手にした碗へとすり寄ってゆく瞬間である。
  

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