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 通勤途中の庭先にさくらんぼが瑞々しい実をつけているのを見つけた。
 色は黄色くまだ熟してはいない。
 そう言えばと「黄色いサクランボ」という歌があったなと思い出し、つい口ずさんでしまいたくなる。

     ♬ つまんでごらんよ ワン
       しゃぶってごらんよ ツー
      甘くてしぶいよ スリー
       ワン・ツー・スリー ウーン
      ほらほら黄色い サクランボ 🎶
  てな具合に意味深なサビの部分だけが、やたらとエンドレスで頭の中を駆け巡る。

 この歌謡曲は70年代に流行したもので、当時私は無垢な小学生のひとりに過ぎなかった。
 そんな或る時テレビを見ていたら、ブラウン管越しに丈の短いスカート姿の女の子五人が現れ、いきなりゴーゴーダンスを始めたかと思いきや、お色気たっぷりに あの“黄色いサクランボ”を歌い始めたのだ。
 すると踊るたびにパンツが見えるのではないかと、子供心ながらに随分とハラハラドキドキさせられた。

 あの時のショックは大変なものであった。
 だからこそ今もこうして記憶の彼方で、鮮明にとどまっているのかも知れない。
 そうそうあの歌い出だしの部分もかなりなものである。

     ♪若い娘はウッフン お色気ありそでウッフン
      なさそでアッハン ありそでアッハン♫

 この“ウッフ〜ン”と“アッハ〜ン”の色っぽさがまた子供達には何故か受け、友だちとよく真似てはふざけあったものだ。
 すると当然ながら親は眉をひそめ、あの歌が聞こえようものならばいきなりチャンネルを回す(当時はダイヤル式)暴挙に出るという、初の不測の事態を目の当たりにするのである。

 ところでこのアイドルのグループ名はゴールデンハーフと呼ばれ、その名の通り全員が西洋人とのハーフであった。
 なので日本人ばなれしたスラリと伸びた手脚と、目鼻立ちのはっきりした顔だちはもて囃され、瞬く間にお茶の間の人気を集めることとなった。
 それにお化け番組と称され視聴率の高かった、あのドリフターズの番組にもレギュラー出演すると、さらにPTAは目をつりあげ低俗番組を見させない運動を必死に展開し始める始末である。

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 どうもこれは全国的な現象のようで、私の父親など小学校に勤めていたおかげで、職員会議において「教育上ふさわしくないものは子供にみせない!」という決議を忠実に、そして厳格に守り通すことになった。
 だから周りの同級生はこうした決まりが緩やかだったのに対し、私だけ翌日の話題についてはいけず随分と悔しい思いをしたものである。
 しかしこうした思い出も今となっては懐かしく、ふとしたきっかけで様々な出来事がフラッシュバックとして呼び起こされるのは、やはり歳を重ねたからなのかとひとり苦笑いなどしてみたりする。

 当時の各家庭ではテレビは一台しかないのが普通で、その前で家族全員が食卓を囲んでいた幼い頃の記憶。
 やがて思春期をむかえ息苦しさばかりが募るようになり、高校を卒業し故郷を後にした時のたとえようのない解放感など、心の奥底にはまだまだだ焼き付けられたままのものが多々眠っている。
 それらのひとつひとつが人生というアルバムに綴られ、時折顔をのぞかせては心の襞をこそばゆく這い回る。
 そうしたことをたまたま思い起こさせたのが、今朝見つけたあの黄色いサクランボのせいに他ならない。
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